世界終末時計と今-誰でもわかる!簡単解説-


みなさんは、「世界終末時計」という言葉を聞いたことがありますか?
名前からして物騒なこの時計は、中身もちゃんと物騒です。
今日はこの「世界終末時計」について過去の流れから2019年の今までの道のりを含めて簡単に解説します。

はてなぎ

週末時計?

後何日でお休みかわかる時計?

つぐま

その時計もとっても大事な気がするけど、今日は少しその時計とは違う話なんだ

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世界終末時計とは

今回は、本題から入りましょう。
「世界終末時計」とは核戦争や温暖化のような気候変動による環境破壊によって、人類が後どのくらいで終末を迎えるか、はっきりいうと絶滅するかを時計で表したものです。
「終末時計」、「運命の日」の時計ともいわれています。

この時計の針が「0時」を指すときが人類が絶滅の時という観点で表現されています。
そして、2019年3月現在の時刻はなんと「2分前」です! 

え?そんなに人類って滅亡間近なの!?と思いませんでしたか?
しかし、この時計は進むだけではなく、人類にとって希望的な出来事があれば、戻ることもあります。

そして、12時間や24時間のうちの2分というわけではなく、もともとこの時計は1時間のうちの最後の45分から0時までの間だけを切り取って表現されているものなのです。

はてなぎ

なんかすごく怖い話をしているような気がする…

つぐま

最後の15分前後を取り出しているとはいえ、後2分ってきくと明日でも滅亡するんじゃないかって思っちゃうよね

はてなぎ

これはそんなに昔からあるものなの?

つぐま

じゃあ、今度はいつからこの時計があってどういう経緯で作られたのか見ていってみようか

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世界終末時計が誕生した経緯

この時計は、日本に原子爆弾が落とされた2年後の1947年に誕生しました。
はっきりはしていませんが、核兵器による圧倒的な破壊を目の当たりにしたことが原因だったのでしょうか…。
アメリカの「原子力科学者会報」という雑誌の表紙に描かれることになりました。そのときの針は「7分前」を指していたそうです。

1947年というのは、アメリカとソビエト連邦(ソ連、現ロシア)との冷戦が始まっていた頃で、次にいつ核兵器が使われるのか、まったく予測がつかない時代だったことも誕生した経緯の一つなのかもしれません。

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世界終末時計の時刻の変化

1947年に7分前を指した世界終末時計は、「原子力科学者会報」の委員会によって定期的に時刻が修正されています。
その回数は2019年現在、73年間で22回。
どのような変化があったか順を追ってみていきましょう。

1949年(+4分)

ソ連が核実験に成功します。
これによりアメリカとソ連の2大国が核兵器の開発の競争を始めることになります。
人類絶滅へ大きく歩を進めることになりました。

時計は4分進み、残り「3分」となります。

1953年(+1分)

アメリカ、ソ連が共に水素爆弾の実験に成功します。
日本に落とされた、原子爆弾の100倍近い威力がでるといわれている水素爆弾。

これにより、時計はさらに1分進み、残り「2分」となります。
この時代の世界情勢と現在のカウントダウンが同じというのは恐怖ですよね。

1960年(-5分)

それまで、断絶状態だったアメリカとソ連の国交が回復。
この事実により人類の危機は少し遠ざかります。

時計は5分戻り、誕生したときと同じ残り「7分」となります。

1963年(-5分)

アメリカとソ連の関係はさらに良好になっていきます。
両国が、「部分的核実験禁止条例」に調印し、一部の核実験を禁止するという限定的とはいえ、世界は表面的には核の恐怖が少し減りました。

針はさらに5分戻り、残り「12分」となります。

1968年(+5分)

世界が平和に向かいつつあったのもつかの間、フランスと中国が核実験に成功してしまいます。
さらに、第三次中東戦争やベトナム戦争、第二次印パ(インドとパキスタン)戦争が立て続けに発生します。

せっかく、終末時計が誕生した際の時刻から5分戻っていましたが、針は再び5分進み、残り「7分」に逆戻りです。

1969年(-3分)

世界では、核実験の成功や、戦争が起こっている中、アメリカの上院で「核拡散防止条約」が批准されます。
「核拡散防止条約」とは、簡単にいうと、「核を持ってる国は他の国に核をあげちゃダメだよ、そして今持ってない国は新しく作っちゃダメだよ」というものです。

持っている国にのみ有利に働くような条約ではありますが、核が広がっていくことを止める意味合いももつためか、針は3分戻り、残り「10分」となりました。

1972年(-2分)

アメリカとソ連が「第一次戦略兵器制限交渉(SALT Ⅰ)」と「弾道弾迎撃ミサイル制限条約(ABM条約)」を結びます。
前者は「核兵器作るのはこの数までにしようね」というもので、後者は「敵のミサイルを撃ち落とすためのミサイルの数も、このくらいにしておこうね」というものです。
どちらも、ミサイルの数を減らす条約のため人類の滅亡は一歩遠のいたことになりました。

針は2分戻り、残り「12分」になります。
ちなみに、後程にもでてきますが「AMB条約」をアメリカは2002年に脱退することになります。

1974年(+3分)

アメリカとソ連の軍事縮小の交渉がうまくいかず、その間に両国に「MIRV」というひとつの弾道ミサイルに複数の弾頭を積むことができ、さらにそれぞれが違う場所を攻撃できるという恐怖のミサイルが配備されることになりました。

そして、インドで初の核実験が実施されます。しかし、この実験は戦争の道具のためではなく、工事用の核爆破のテストであったとインド政府は主張しています。
そのため、「平和的核実験」という呼び名がついています。

しかし、核の実験を行ったことは事実であるためか時計の針は3分進み、残り「9分」となります。

1980年(+2分)

アメリカとソ連の話し合いがうまくいかないことや、国家同士の紛争が多発。
テロリストも増加し世界に緊張が走ることになります。

この年に「イラン・イラク戦争」も始まり、時計の針はさらに2分進み、残り「7分」になります。

1981年(+3分)

この頃から、世界は軍事拡大の競争社会になります。
人権の抑圧の問題も各国で浮上。

さらに3分針は進み、一時期12分前まで戻っていた終末時計は残り「4分」というところまで再び進んでしまいます。

1984年(+1分)

一時期縮小していた、アメリカとソ連も軍事拡張の競争が再びはじまります。

針はさらに1分すすみ、残り「3分」となります。

つぐま

これで半分だから、少し休憩しようか

はてなぎ

アメリカとソ連の間でこんなにたくさん、色んなやりとりあったんだね

つぐま

この時期は、アメリカとソ連が圧倒的な力があったからか、この2国のやりとりで終末時計は進んだり戻ったりしていたみたいだね

はてなぎ

これを見ていると、よく戦争が起こらなかったなって思っちゃうね

つぐま

本当にそれは思うね

さぁ、気を取り直して続きいこうか

はてなぎ

はーい

1988年(-3分)

アメリカとソ連が「中距離核戦力全廃条約」という条約を締結します。
これは、「よく飛ぶミサイル(具体的には射程が500kmから5500km)はお互い全部破棄しようね」というものです。

この条約で16年ぶりに針は3分戻ることになり、残り「6分」となります。

1990年(-4分)

この頃(1989年10月号)から、気候変動や危険な生命科学の脅威も考慮されるようになりました。
アメリカとソ連の間で40年以上続いた「冷戦」が終結されます。

針は4分戻り、残り「10分」となります。
しかし、この年に「湾岸戦争」が開始されることになります。

1991年(-7分)

この年にアメリカと長年、争っていたソ連が崩壊し、ロシア連邦となります。
また時を同じくしてユーゴスラビア連邦も解体されることなりました。

このことにより、終末時計が誕生してから0時から最も遠い、残り「17分」となります。これで世界は平和になると誰もが望んでいました。

1995年(+3分)

ソ連が崩壊し、核兵器の恐怖は去ったと思っていました。
が、ロシアになった後も核兵器の不安が消え去ることはありませんでした。

針は3分進み、残り「14分」となります。

1998年(+5分)

インド、パキスタンの両国が核兵器を持っていることを宣言します。
核の恐怖は広がりました。

針は一気に5分進み、残り「9分」となります。

2002年(+2分)

2001年にアメリカで同時多発テロ事件が発生、それを機にアメリカは「ABM条約」から脱退します。
今度は国単位ではなく、テロリストによる大量破壊兵器の恐怖が世界を襲うことになりました。

時計はさらに2分進み、残り「7分」となります。

2007年(+2分)

北朝鮮が核実験を行い、イランでも核開発がされている可能性が浮上します。
そしてついに環境に関する脅威も、この年に加味されることなります。
「地球温暖化」の進行です。

針は2分進み、残り「5分」となります。
核兵器の開発に匹敵するレベルで人類を脅かす環境破壊問題ですね。

2010年(-1分)

アメリカ、オバマ大統領が核廃絶運動を行います。

これにより、針は1分戻り、残り「6分」となります。

2012年(+1分)

日本で福島第一原子力発電所の事故が起こったことで原子力の安全性に黄色信号がともることになりました。

また、核兵器の拡散の危険性が増えたことも相まって、1分進み、残り「5分」となります。

2015年(+2分)

世界の異常気象はさらに問題視され、核軍備競争も予断を許さない状況です。

針は2分進み、残り「3分」となります。

2017年(+30秒)

アメリカのトランプ大統領の発言が、核や異常気象に対してマイナスととらえられてしまうような発言をしたことにより針はさらに30秒進み、残り「2分30秒」となります。

2018年(+30秒)

そして、最も最近の変動になりますが、北朝鮮が何度も核開発や核実験を行っていることで、核戦争の危険性が取りざたされることになっています。

そのことで、さらに30秒針は進み、現在残り「2分」になっているというわけです。

はてなぎ

世界って、いつまでたっても平和にならないんだね

つぐま

それを危惧して、この世界終末時計という表現がなされているんだと思うよ

最後に針が進んでから、アメリカと北朝鮮のトップ対談がついに実現しました。
ここで核兵器の廃棄についての話し合いもなされています。
来年には針が少しでも戻ることを祈りながら、この記事をまとめたいと思います。

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まとめ

  • 「世界終末時計」とは、核戦争や異常気象により人類が後どれくらいで滅亡するかを時計で表現したもの
  • 時計の針が「0時」を指すと人類は滅亡すると考えられている
  • 日本に原子爆弾が投下された2年後のアメリカの雑誌で初めて終末時計が誕生する、このときの針は7分前
  • 1989年までは核兵器が、それ以降は異常気象や危険な生命科学も加味されるようになる
  • 73年の間(2019年現在)に22回、変更が行われ現在はたったの「2分前」である

今回は、世界終末時計について調べてみました。

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