前回は「アタリ」について解説しました。
今回は絵を描く上でよく聞くもう一つのワード「ラフ」について、それがどういったものでどう活用するものなのか、またその必要性について説明しようと思います。
この記事を見ていただくことで下記の内容がわかります。
- 「ラフ」がどういったものか、用途がわかる
- 「ラフ」の練り方がわかる
- 「ラフ」の必要性がわかる
「アタリ」も「ラフ」も、絵を描く前段階に行う大雑把に描く工程で、とても似ています。
では違いは何か。
「ラフ」は「アタリ」をより広く詳しく描く工程のことです。
「アタリ」が描きたいキャラクターのポーズや体や顔のバランスの作画を間違えないようキャラの骨組みを考える工程なら、「ラフ」は一枚のイラストを描く為に事前にキャラクターを含めたイラスト全体の構成やテーマをそれこそラフに考えるためのものです。
「アタリ」の記事に興味のある方や、まだご覧になっていない方は是非こちらもご覧ください。
この記事では、具体的に筆者の描いたラフ画を用いて解説します。
「ラフ」の描き方を具体的に知りたい方や、「ラフ」の使い方が分からず悩む初心者さんは是非この記事を読んでいただければと思います。
ラフとはどういったものか
ラフとは
まずはじめに、「ラフ」とはどういったものなのかを説明します。
ラフ(rough)の言葉としての意味は「荒い」です。
イラスト関連での「ラフ」の意味は言葉の通り荒い絵を、つまり大雑把なタッチで簡単な絵を描く事、描いた物のことを指します。
本番のように丁寧に描く必要性はありません。
自分だけにわかるような線の塊で描く人もいますし、何となくどういった状況を描いてる絵なのか最低限伝わればいいような大雑把さで大丈夫です。
荒く描くその理由としては、描きたいと思っている絵のテーマやイメージを簡単な絵から描き出して、出来上がりイメージを固定化させていくのが目的だからです。
イラストを描いたけどなんとなく気に入らなかったり、完成間近になって修正が増えて時間がかかったりすることはありませんか?
実はラフ画を正しく描くことで、そういった問題を防ぐことができるんです。
ラフの用途
では「ラフ」はどういった用途で使うものなのでしょうか。
それは以下の3点になります。
- 絵の構想を描き出すための、前作業にある下書きの下書き
- アイデアなどのメモ書き
- アイデアを人と共有する際の手段
では順番に少し詳しく見てきましょう。
1.絵の構想を描き出すための、前作業にある下書きの下書き
真っ白なキャンパスにいきなり本番の絵を描き起こすのは、プロでもとても難しいです。(それができる方は、そういった熟練を積んできた方です。)
簡単に絵である「ラフ」を描く事で、絵の構想を重ねて描きたい絵のイメージを固めたり、背景の構図や配置を増やしたりと、いわゆる本番の絵の前にそれの手本にするための簡単な設計図を書くといった感じです。
一枚のイラストをいきなり描き出す前に、イメージしてるアイデアで間違いがないか「ラフ」を描く事で練り直したり、また採用された「ラフ」はそのまま本番の時のお手本として使えます。
これが、下書きの下書きという意味です。
2.アイデアなどのメモ書き
アイデアのメモ書きとは、ふと思いついた描きたいと思った構図や構成のスケッチなどでメモを取って覚書をしたりするということです。
感覚としては落書きに近いですね。
漫画の場合だと思いついたネタとかをメモ書きしたりします。
漫画を作るときに聞く「ネーム」は漫画の「ラフ」に当たります。
ネームについて詳しく知りたい方はこちらもどうぞ。
こちらも1番の項目と同じく、「ラフ」をたくさん描くことで、簡単な設計図を書くといった感じです。
3.アイデアを人と共有するための手段
これは蛇足というかオマケのような話なんですが、イラスト関連の仕事などでは「ラフ」を通して依頼者側の方と作家側がアイデアの共有したりします。
私も過去に、お絵描き仲間の友人と合作をする際にアイデアの出し合いのために「ラフ」を描いて考えているアイデアの説明やプレゼン的なものをした経験があります。
こういった事でも「ラフ」は広く使われています。
草子さんはいつも寝転んで絵を描いているの?
これはテントの中で描いているからだよ
なるほど、テントの中だったんだね
あえて言うなら後ろにお前がいたせいでめちゃくちゃ狭かったけどな
そうだったっけ?
冬場はいいけど夏場はやめてくれよ
ラフの練り方
ラフを練り方を図を使って説明
では次に「ラフ」はどういった感じで練るものなのかを、簡単に筆者の絵で説明していきたいと思います。
描きたいと思っている要素を、どうやってイラストに溶け込ませるか構成を考えます。
全体の場合も似た感じ。
ラフの描き方 覚え編
では、「ラフ」の描き方を覚えていきましょう。
まずそのイラストの画面の中に、どういったものを配置して画面を埋めるかを考える必要があります。
私が使っている(知っている)やり方は、白いキャンパスに線を入れていく方法です。
背景込みだと最初に地平線をどこにするかを考えてから、画面に配置するものを決めていきます。
ラフの実際の使用例
それでは実際に「ラフ」を使った構成の練り方を、自分の描き方と実際の絵で紹介します。
私自身はアナログの鉛筆絵で描いていくことが多く、今回はカラー絵ではないです。
その点はご了承ください。
1.アイデアを出す
絵にしたいアイデアを決めて、それを「ラフ」で描いていきます。
私自身はこういった感じで、最初は本当に軽く小さく色んな構図のイメージを描いていきます。
2.手直しやアイデアの追加
上の絵は「ラフ」なのでわかりにくいかもしれませんが、思いついた絵のテーマは描いた時期が夏だったので「川」です。
川に三人のキャラを配置しようと”1”の段階で大体の構図決めました。
構図が決まった後はキャラがどんな佇まいでいるかなどを掘り下げて考えます。
(”1”からの追加要素は、「川で魚を捕る熊(つぐま)」、「その魚をキャッチしようとする女の子(はてなぎ)」、「焼き魚を作るため焚火の用意をする手前の女の子(草子)」など、以下”3”参照)
3.下書きを描いていく
「ラフ」を手本にして下書きを描いていきます。
私はアナログ使いでトレース台を使って絵を描くので、「ラフ」からもう一段階丁寧に描いたラフ的なものを用意してそれをトレース台に当てて描いていきます。
ここで「ラフ」の段階でのアイデアが実際に描いてみるとイマイチだったり、自分の今のレベルでは描きにくいとわかったりすることがあります。
その時は一度「ラフ」の段階に戻り、ネタの練り直しなどをします。
2と3の工程を行ったり来たりするのです。
4.本番
いかがでしょうか?これで完成です。
大体自分はこんな感じでスケッチブックに一枚絵を描いています。
一通りの制作の流れを動画でも撮影したので、お時間のある方は見ていただければ幸いです。
あとがき
いかがだったでしょうか?
「ラフ」とはどういったものか、また私の「ラフ」の描き方について簡単に説明を記事にしてみました。
「ラフ」はお手軽に描けて簡単なアイデア出しや落書きなどを楽しめたり、絵を描いた気になれたりと個人的には楽しい工程だなっと思っています。
この記事が、少しでもみなさんの「ラフ」を描く際の手助けになれば幸いです。
漫画と絵の描き方のまとめ記事です、興味のある方は↓もご覧ください。
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