先日、「遺伝子組み換え食品とは、メリットデメリットは? 」の記事で遺伝子組換え食品について解説しました(リンク先を先に読んでいただけると、この記事がわかりやすくなると思います)。
しかし2019年の今年、新たに「ゲノム編集食品」という何やら怪しげな、でもちょっと興味を惹かれる名前の食品が流通される流れになってきています。(2019年3月に厚生省が了承し、夏ごろには流通の可能性があります)
ゲノムというのは遺伝子情報の全体のことを表す言葉です。
ということは遺伝子を組み替えるのとゲノムを編集するのが一体どう違うのか言葉ではわからないですよね。
ということで、今回はこれから私たちの生活に関わってくる可能性のあるゲノム編集食品について解説します。
へー、珍しく最新のテーマだね
うん、本当は遺伝子組換え食品とセットで解説する予定だったんだけどね
あ、裏事情だ
興味のある方は「遺伝子組み換え食品とは、メリットデメリットは?」も見ていただけると嬉しいです
今度は宣伝だー!
ゲノム編集食品とは
ゲノム編集食品とは、食品の素材の遺伝子をDNA切断酵素という酵素を使い壊したり、切断して置き換えたりすることで本来その作物が遺伝子上に持つデメリットの排除したり、メリットを増やしたりした食品のことです。
日本で研究されているもので例にあげると、「栄養価の高いトマト」、「肉付きのよいマダイ」、「収穫量の多い稲」等、基本的には現在よりも高品質な食品を生み出せるというわけです。
人は品種改良を繰り返し、作物等を今の形に作り上げるまでにかなりの時間を要していました。
しかし、このゲノム編集技術を使えば、品種改良にかかる時間を極限まで短縮できるというわけです。
へー、すごい技術なんだね
目には見えない遺伝子を切るなんて、人の技術の進化ってすごいよね
でも、遺伝子組換え食品とどう違うんだろう
じゃあ次はその二つがどう違うか見ていこうか
ゲノム編集食品と遺伝子組換え食品の違い
ものすごく簡単に違いを説明します。
「遺伝子組換え食品」は、ある作物に別の作物や生物の遺伝子を組み込んだ食品です。
それと引き換え、「ゲノム編集食品」はある作物の遺伝子のみを切断したり、組み替えたりすることで品種改良をする技術を利用した食品です。
別の遺伝子を組込むか、その作物の遺伝子だけを操作するかの違いというわけですね。
ただしゲノム編集食品でも、切断したところに別の遺伝子を組込むことは可能です。
別の遺伝子を組込むのが遺伝子組換え食品、組込まないのがゲノム編集食品
うん、そうだね
他の遺伝子を組込まないということは危なくないの?
じゃあ次は危険性についてみていこうか
ゲノム編集食品の危険性
たしかに、別の生物や作物等の遺伝子を組込まないゲノム編集食品は、イメージとして遺伝子組換えよりも安全に感じます。
でも、本当に危険性はないのでしょうか?
政府の見解
別の生物や作物の遺伝子を組込まないゲノム編集食品は届け出さえすれば、なんと政府の安全審査を受けなくても販売できてしまうのです。
その理由は、純粋な品種改良や突然変異との違いの区別ができないためといわれています。
しかし、別の生物や作物の遺伝子を組込んだ食品に関してはゲノム編集食品であったとしても、遺伝子組換え食品と同じくしっかりと審査が必要であると結論づけられています。
そのため、ゲノム編集食品に関しては気づかないうちに食卓に並ぶ可能性があるというわけです。
危険性
2019年5月、現時点ではまだゲノム編集食品は流通していません。
そのため、いくら通常の品種改良と変わらないため安全だといわれても検証結果があるわけではありません。
科学者や政府が想像していない反応を人体が起こす可能性も残っているわけです。
新しいアレルギーが発生するかもしれません。
そう考えると、いくら危険性が具体的に表面化されていないとはいえ、安全だと決めつけてしまうのは早計だと思います。
そして何より、この「ゲノム編集食品」というものの存在を知らない人も多いのも事実です。
そういう食品がこれから販売される可能性があるということを知っているだけでも、対処ができることが増えるかもしれません。
結局のところ、安全か危険かもちゃんとわからないってことなんだね
新しい技術っていうのは、時間をかけて検証しないと結果がわからないことって多いからね
いいものを作っても、危険性があるならそれは結局悪いものになっちゃうね
技術の進化を否定してるわけではないんだどね
まとめ
- 遺伝子を切断したり、置き換えた「ゲノム編集食品」という食品が2019年に流通する可能性がある
- 遺伝子組換え食品との大きな違いは、別の生物や作物の遺伝子を組込むか組込まないか
- 別の遺伝子を組込んでいないゲノム編集食品は政府の安全審査を受ける必要がなく、いつの間にか食卓に並ぶ可能性がある
- 安全か危険かについては検証が十分にできていないためはっきりとはわからない
今回はゲノム編集食品について解説しました。
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