筆者は海が苦手です。苦手というより根源的な恐怖を感じてしまいます。船の上から眺める黒に近い深い紺色を見ると自然と足がすくんでしまいます。そして、もう一つの恐怖、それが潮の満ち引きです。
潮が引いていくぶんにはかまわないのですが、さっきまで波が来なかった場所まで少しずつ浸食してくる感じ怖くないですか?
今回は、その潮(海)の満ち引きの理由と謎について解説します。
海って大きいよね
僕は基本的に森の中にいるから、海の大きさを知らないんだ
今度見に行こうよ!
なんとなく、見に行ってはいけないような直感が…
潮が満ちる理由
まず、一番最初の疑問である潮の満ち引きはどうやって起こっているのでしょうか。
その原因は地球には存在していません。では、どこにあるのでしょうか。
実は、潮の満ち引きを起こしているのは宇宙の遠い彼方にある「月」と「太陽」なのです。
え?月や太陽が原因なの?
うん、あんなに遠くにあるのに不思議だよね
月と太陽と潮の満ち引き
月や太陽が原因とはいいましたが、厳密にいうと月や太陽による引力が原因です。物体には必ず引力が存在します。「どうして?」という質問もでそうですが、これに関してはこの世の理(秩序、普遍的なもの)と思ってください。引力というのは、物と物が引き合う力です。引力は物体の質量が大きくなるほど大きくなり、物体同士の距離が近いほど大きくなります。
月も太陽も地球から距離があるといっても巨大な星です。
少し話がそれてしまいますが、太陽と月を比べると月は400分の1の大きさしかありません。
しかし、現在の地球では月と太陽の距離の差は偶然なんと400倍程度あるのです。太陽も月も地球から見たときはほとんど同じ大きさに見えますよね。それは、この偶然の一致が原因だったのです。
ちなみに、月は年月をかけて少しずつ少しずつ地球から離れていっています。そのため今よりもずっと昔は、月は現在よりも地球に近く存在し、大きく見えたそうです。
引力による満潮
では本題に戻りましょう。太陽に比べて圧倒的に小さい月でも距離と質量の関係で、月の引力が地球に与える影響は実は太陽の2倍近くあります。そのため、月が近くにあると地球にある海が月の引力によって引っ張られてしまうのです。
その引っ張られた海によって最も海面が高くなる状態のことを「満潮(満ち潮)」といいます。そして、地球は自転(軸を中心に回る)をしています。時間によって月との位置関係は変わっていくわけです。
月と比べて半分の引力といっても太陽の力も海には十分に影響します。太陽と月の位置で、海面の高さは刻一刻と変化しますが、月が最も地球に近い状態で月の後ろに太陽が一直線に並んだ時が最も海面が高くなります。両方の引力が同じ方向に働くためですね。ちなみにこの状態を「大潮」と呼びます。
位置関係が変わることで、月が一番近い面から少しずつ離れていき最終的には最も離れることになります。じゃあその状態が一番海が浅くなる「干潮(引き潮)」になるんだ、と思ってしまいますよね。
実は、ここが潮の満ち引きの不思議なところなのです。
潮の満ち引きの謎
地球は1日で1回自転をします。すると月が最も近いときと月が最も遠いときは1日に1回ずつということです。
先ほどの話の通り一番近いときが「満潮」、遠いときが「干潮」となると、「満潮」と「干潮」は1日に1回だけということになるはずですよね。
しかし、「満潮」と「干潮」は1日に2回ずつやってくるのです。
え?どうして?
そうなるよね、じゃあどうして満潮、干潮が1日2回起こるのかみていこうか
1日2回の満潮、干潮
まず、月が最も近くにあるときに「満潮」になるということは事実です。では、どの部分が謎なのか。
それは月から最も遠くなったときは「干潮」ではないということです。では、一番遠いときはどうなるのでしょうか。
答えはなんと、月から一番遠くなったときも「満潮」になるのです。「引力で引っ張られるから満潮になるんでしょう。なんで一番遠くにあるときに満潮になるの?」って声が聞こえてきそうですね。
なんで一番遠くにあるのに満潮になるの?
聞こえてきた
潮汐力
ここで登場するのが「潮汐力」という力の働きです。この力を詳しく説明するとかなり難しいためものすごくおおざっぱに説明させていただきます。(それでもややこしいかもしれません)
先ほど、月に近い海は引っ張られることで海面が高くなると説明しました。引力は、物体との距離が近いほど大きく働きます。それを踏まえて言い換えれば、月が最も近い場所の海の底と海面と比べたときに海面のほうが月に近いため引力の影響を受けると考えることもできます。そのため、海面が引っ張られて高くなるわけですね。
では、逆はどうか。イメージしてみてください。月から最も離れた場所というのは月が最も近い場所の真裏ということになりますよね。その場所では何が起こっているのでしょうか。
では、ここで問題です。月から一番遠い場所、海の底と海面どちらが月から遠くなりますか?
えーっと、月が一番近い場所の真裏ってことだから海の底のほうが月に近いよね、ということは…
はい、そうです。答えは海面になります。
月から遠い場所ほど引力の影響が少なくなる=海面のほうが引力の影響を受けないということです。海面が引力の影響を受けにくいということは、引っ張られるのは海の底、海面はその場所に残されるということです。結果的に、海面が高くなるというものすごく不思議な現象が起こるというわけです。
なんだかすごく難しい…
詳しい説明をすると、もっと難しくなっちゃうから感覚的に地球は月に引っ張られて楕円形に伸びると考えるのが一番わかりやすいかな
うん、わかりにくい
干潮になるタイミング
「満潮」になるタイミングは月から最も近いとき、最も遠いときというのはわかりました。そうなると「干潮」はいつ起こるのでしょうか。
それは、月から一番近くなる時と一番遠くなる時のちょうど間のタイミングになります。両方の海が高くなるということは、その分、割を食うのはその間ということですね。
この事実が、1日2回の「満潮」「干潮」を発生させます。月、地球(厳密には太陽も)の関係性というわけですね。規模が大きすぎると少しイメージがし辛いですよね。ここまで読んでくださった方で、この部分がわかりにくいというところがあればツイッターのほうにご意見を頂けると、とてもありがたいです。
まとめ
- 潮(海)の満ち引きの原因は月と太陽の引力
- 月が最も近くにあるときと、遠くにあるときに「満潮」になり、そのタイミングが「干潮」になる。その原因となっているものが「潮汐力」という力
- 1日2回、「満潮」と「干潮」になる
今回は、潮(海)の満ち引きの理由と謎について解説しました。
もしご興味があれば、こちらもご覧ください
その他にも、色々な日常の疑問を解説していますので、興味のある方やお時間の許す方はこちらの「ハテナと疑問」へどうぞ。