2012年から毎年(2014年除く)、3月20日「世界幸福デー」と呼ばれる日に、「世界幸福度ランキング」というランキングが発表されています。
2019年の今年、日本は156ヶ国中の58位でした。
世界的に見れば、裕福だといわれている日本。
どうして「幸福度」はこんなにも低いのでしょうか?
「幸福度」とはどういったものなのかを簡単に解説します。
幸福度が低いって聞くとなんだか寂しくなるね
真ん中よりは、上のほうだから不幸せってわけでもないんだろうけどね
でも幸福度ってどうやって決めているんだろう
じゃあ、まず幸福度はどういうものか見ていこうか
「幸福度」って? 幸福度ランキングとは?
バブル景気以降、日本は景気がよくないといっても世界的に見れば裕福な国です。
しかし、幸福度ランキングの順位を見ればわかると思いますが、「幸福度」というのは所得のみに依存しません。
幸福度ランキングとは家族や社会とのつながりや、健康面、毎日の生活で自分の好きなことで生きていけるか?のような生きていく上でどのくらい幸せかという内面的な部分も含めた合計値で決定されるものです。
余談ですが、ブータン王国という国では、1972年に「国民総幸福量(GNH)」という国民全体の幸福度を示す値が初めて調査されました。
これまでの世界では、「国民総生産(GNP)」や「国内総生産(GDP)」といわれる数値が高いほうが国民にとって幸せだという考え方がありました。
経済的に豊かであれば幸せだという考え方です。
もちろん、経済が豊かであることに越したことはありませんがそれにより、自分の好きなことができない、休みがとれない、寿命が短い等であればそれは本当に幸せなのか?という疑問を提唱したということですね。
現在、そのブータンでは、GNHの増加が政策の中心になっています。(しかし、ブータンの政策そのものは賛否両論であるため幸福度のみを追い求めることが正しいかどうかはまだはっきりと結果としてでていません)
「幸福度ランキング」の決め方
「幸福度ランキング」は6つの項目に対して、世論調査によって自分の幸福度がどのくらいなのかを0~10の数値で答えてもらい、それの平均値をとったものをランキングとして並べたものです。
6つの項目についてそれぞれ見ていきましょう。
人口あたりの国内総生産(GDP)
1つ目の項目は、経済的な指標です。
「幸福度」は裕福なだけが幸せではないというものではありますが、裕福であること自体も1つの指標でもあるということですね。
ちなみにGDPというのはものすごく簡単にいうと「国が1年間でどれだけ儲けたか?」という数値です。
それを人口で割ったときの数値が「人口あたりのGDP」となります。
これに関しては世論調査というより、国の経済調査によってわかるものですね。
社会的支援
2つ目の項目は、社会的な支援です。
困ったときに頼ることのできる親戚や友達がいるかどうか?という質問に対しての答えになります。
たしかに、何があっても一人で生き抜かなければいけないというのはつらいですよね(孤独が好きという方ももちろんいらっしゃいますが)。
最近の日本は、親戚付き合いや友達付き合いが減ってきているため、今はまだそこまで低くはないようですがこれから下がっていってしまう可能性がある項目な気がしますね。
この項目は、ノルウェーやスウェーデン、デンマーク等の北欧諸国が全体的に高い傾向があります。
健康寿命
3つ目の項目は、健康寿命です。
これは心身ともに自立し、健康的に生活できる期間の平均値です。
長生きできるだけでなく、健康である必要があるということですね。
いくら寿命が長くても、動けなかったり、寝ているだけの毎日が幸せかどうかというのはたしかに悩みますよね。
日本がかなり上位にランクインしている項目です。ちなみに香港やシンガポール、韓国等、アジア圏の国が上位に多く入っています。
人生選択の自由度
4つ目の項目は、人生で何をするかの選択の自由に満足しているかという項目です。
生活するためとはいえ、自分がやりたくもないようなことを毎日仕事にするのってきっと幸せじゃないですよね。
一部の自分の好きなことをしながら生活できている人たちを除けば、誰もが自分のやりたいことをして生活できればと思いながら毎日を送っていると思います。
この項目も、北欧諸国が全体的に高い傾向がありますね。
寛容さ(気前のよさ)
5つ目の項目は、寛容さ(気前のよさ)です。
寛容さ、と聞くと人を許す気持ちのようなイメージがありますがこの項目の寛容さというのは、気前のよさがメインになります。
具体的にいうと、過去一か月の間にチャリティ等に寄付をしたことがあるかどうかを聞いたものです。
人のためにお金を使えるかということですね。
たしかに、人のために身銭をきれる人が多い国はきっと幸せだと思います。
ちなみに、この項目はミャンマーがぶっちぎって高いです。
人のためにお金を使うと本人も幸せになれるという研究結果もあるようなので、ミャンマーの人たちは好循環してそうですね。
腐敗認識度
最後の項目は、腐敗の認識度です。
言葉だけだと少しわかりにくいので詳しく説明すると、普段の生活で不満や悲しみ、怒りがどのくらい少ないか、また社会や政府の腐敗が蔓延していないか(国民がそう認識していないか)を調査によって数値化したものです。
この項目が高いとその国で生きていくのがイヤになりそうですね。
この6つの項目の合計値が高い国ほど、幸福であると認識されます。
ちなみに2019年の幸福度ランキングのトップ10は下記となります。
- フィンランド
- デンマーク
- ノルウェー
- アイスランド
- オランダ
- スイス
- スウェーデン
- ニュージーランド
- カナダ
- オーストリア
北欧諸国が高順位にランクインしてますね。その理由は、社会保障が非常に手厚く、教育レベルも高いためといわれています。
ただし、その分政府にたくさんお金が必要になるため、地方所得税や消費税が日本と比べてもかなり高額(地方所得税が30%前後、消費税が25%)で負担も多いです。
しかし、その負担を支える国民の働き方は日本のように定時を超えてすることが普通というような健康的にも精神的にもよくなさそうな考え方ではなく、所定の時間内で効率よく働くことが基本的な考えで、残業という概念がそもそもないです。
しかも有給休暇が最低5週間もあるため、自分の時間をとることができる、ストレスもたまりにくいという形がとられています。
さらに驚くべきは、ノルウェーでは育休は両親とも取得をすることが前提(それどころか父親がとらないと母親もとれない)で育休中でも100%の給与が支給されます(最近ではスウェーデンも)。
育休取得が当たり前の社会なためか、専業主婦世帯がほとんどないです。
政府、国民、企業という国全体で自分たちの社会を支えようという気概がよくわかりますよね。
こういった理由により、北欧諸国は高い幸福度を実現しています。
ここまでの改革を実現することはかなり難しいとは思いますが、筆者は日本でもこういった考え方が浸透したらいいなと思います。
幸せになるためには、国全体が思いを一つにしないといけないんだね
どうしても余裕がなくなるほど、自分のことしか考えなくなっちゃうからね人の世界はなかなか幸せにはなれないってことだね
じゃあクマの世界は?
とりあえずハチミツさえあれば幸せかな
え、それでいいの?
まとめ
- 「幸福度ランキング」とは2012年から毎年3月20日に発表されている
- 「人口あたりのGDP」「社会的支援」「健康寿命」「人生選択の自由度」「寛容さ(気前のよさ)」「腐敗認知度」の6項目の合計値が高いほど幸福度が高い
- 北欧諸国は、社会保障と教育レベルの高さやそれを支える国民の意識によって高い幸福度が実現されている
今回は、「幸福度」と「幸福度ランキング」について調べてみました。
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